「一条工務店はバリアフリーにできるの?」
「注文住宅だし色々考えてくれるんでしょ?」
「事前にできる対策があれば教えて!」
と考えてはいませんか?
僕は90歳越えの義祖母と同居しつつ、普段は理学療法士として日々介護のアドバイスをしています。そのため、老後対策はとっても身近な問題です。
一条工務店は手すりが標準仕様だったり、部屋間に段差を作らない設計だったりと、老後に考慮した間取りを作ってくれます。しかし、完全なバリアフリーは難しいのが正直なところ。
そこでこの記事では、以下の内容について解説していきます。
- 一条工務店で完全なバリアフリーが難しい3つの理由
- 場所別にできる手軽なバリアフリー対策
老後も安心して生活できる家を目指している方は、ぜひ参考にしてみてください!
一条工務店の家ではどんなに頑張っても車椅子での生活は難しいです。そのため「少しは歩けるけど、足腰が弱くて助けが必要」な状態の人が過ごしやすいような対策を紹介しています。
一条工務店でバリアフリーが難しい3つの理由
一条工務店でバリアフリーが難しい理由は以下の3つです。
- 道路から家までの段差を無くせない
- 理想的なスロープが作れない
- 廊下が狭くて車椅子が通りにくい
①と②はすべての注文住宅に、③は一条工務店に当てはまることです。順番に解説していきます。
1.道路から家までの段差を無くせない
バリアフリー設計が難しい1番の理由は、道路から家までの段差を無くすことが難しいからです。木造住宅は建築基準法によって、以下のように定められています。
・床の高さは、直下の地面からその床の上面まで45cm以上とすること。
出典:建築基準法施行令第22条
・外壁の床下部分には、壁の長さ5m以下ごとに、面積300cm2以上の換気孔を設け、これにねずみの侵入を防ぐための設備をすること。
そのため、一般的な住宅は50~60㎝ほどの高さが必要になります。
この問題を解消するために、スロープを設置する家庭が多いですが、安全で登りやすいスロープは条件がけっこう厳しいのです。それを次で解説します。
2.理想的なスロープが作れない
上り下りがしやすいスロープの理想的な勾配は1/12~1/20と言われています。
それってどれくらい?とイメージしづらい方もいると思うので具体的な数字で説明すると、50cmの高さを生み出すために最低でも6mの長さが必要になります!
6mって…。そんなに土地広くないよ!
そのため、多くのご家庭は傾斜が急なスロープを設置しています。ただ、傾斜の強いスロープは使い勝手が悪いです。
- 急な傾斜は段差より歩くのが難しい
- 高齢者の力では車椅子が押せない
その結果、スロープは使わなくなり、以下のように対応しているご家庭も多いです。
- 玄関の段差は脇を抱えてもらって上る
- ハイハイで移動する
中途半端なスロープは役に立ちません…。
※我が家にも傾斜の強いスロープが設置してあります。個人的には反対でしたが義両親の希望で設置しました…。
3.廊下が狭くて車椅子が通りにくい
車椅子生活になっても家で生活したいと考えている方もいると思います。しかし一条工務店では現実的ではありません。
一条工務店の廊下幅は1マス分(91cm)。
一方、一般的な車椅子の幅は60~70cm。
通れなくもないですが車椅子ではギリギリなのです!直進ならなんとか進むこともできるでしょう。しかし、方向転換や曲がり角はテクニックとパワーが必要になります。
実際、国土交通省の基準では公共施設で車いすの通路は120cm以上確保するように定められています。
一条工務店では、車椅子生活は介護者にとってかなりの負担になります。
【場所別】一条工務店でできる手軽なバリアフリー対策
一条工務店の家でもできる手軽なバリアフリー対策は以下の通りです。
- 【居室】絨毯やマットを敷かない
- 【玄関】段差に手すり
- 【風呂】半身浴浴槽&縦型手すり
- 【トイレ】1.5帖&縦型手すり
- 【廊下】横型手すり
順番に解説していきます。
1.【居室】絨毯やマットを敷かない
意外に思われる方もいるのですが、自宅のなかで1番事故が発生しやすいのは居室(寝室・リビング)です。トイレやお風呂ではありません。
僕の経験上でも、居室の絨毯やマットに足を取られて転んだという方が多いです。
- インターフォンが鳴って方向転換したら足をひっかけて転んだ
- 夜中にトイレに行こうとしたら足がもつれて転んだ
そのため、絨毯やマットは極力置かないようにしましょう。一条工務店は床暖房があるため敷物が無くても快適に過ごせます。
ただ、我が家の義両親もそうですが、マットを置きたがる高齢者は多いですね…。
2.【玄関】段差に手すり
玄関外の段差には手すりを設置しましょう。スロープは先ほど解説した理由から役に立たない可能性が高いためです。
足腰が弱くなってきた高齢者が自宅に帰れるかどうかで問題になりやすいのは、玄関の段差です。ご家族の支援が期待できるなら良いですが、1人暮らしで段差が登れなかったら自宅生活はまず無理です。
後々で良いので、玄関の段差には手すりをつけられるように設計しておきましょう。
玄関内の手すりは標準仕様で設置してくれます。
3.【風呂】半身浴浴槽
お風呂は半身浴槽がおすすめです。足腰が弱くなっても安全に入浴できます。
- 腰かけた状態で入浴できる
- 滑っておぼれる心配がない
- 浴槽をまたぐときもやりやすい
デメリットとしては、足を伸ばしにくいことと、オプション費用で5万円かかることですね。しかし、半身浴槽ならお湯の量が少なくて済むので水道代は少し安くなります。
膝が悪い方はシャワーチェアーを用意しておくと万全ですね。
浴室の縦型手すりは標準仕様で設置してくれます。
4.【トイレ】1.5帖&縦型手すり
トイレは1.5帖にしましょう。1帖のトイレでは介護しづらいからです。
介護のときは、以下のように2人が横に並んで立てるスペースが必要になります。
- 脇を抱える
- ズボンを下ろす・上げる
- おしりを拭く
「歩けるしトイレの始末はできるけど、ズボンの上げ下ろしは危なっかしい!」という人も案外いるので、1.5帖のトイレが1つあると将来助け合いやすいですね。
トイレの縦型手すりは標準仕様で設置してくれます。
5.【廊下】横型手すり
廊下は横型手すりを設置しましょう。とくに寝室~トイレ~リビングの動線は手すりがあると安心です。
場所によっては手すりが設置しにくいところもあると思いますが、掴めれば家具でも問題ありません。
手すりの設置はあとからで間に合います。介護保険が下りたら補助を使って安く設置しましょう。
以上、老後対策の参考になればうれしいです。
認知症の義祖母との体験も綴っています。良かったら見てみてください^^
>>【プチストレス】認知症の婆さんと同居するってこういうこと。
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